第53回 五三会建築設計競技
「始原の家」
第53回 五三会建築設計競技
「始原の家」
テ ー マ
始原の家
山と山の間を無理に断ち割るように流れる川の景色は、景色という言葉を超えて迫る。それは景色、光景、風景、思いつく言葉のいずれにも当てはまらない。
~中略~
始原が露出したという気がする。
中上健次「紀州 木の国・根の国物語」より
これは、中上が熊野を流れる川を見た際の一文で、始原とは、「ものごとの始まり」※を指し、中上は、熊野の環境をつくり出す「始原」がその川であったと書いています。このことは建築にもあてはまります。建物はそこに建った瞬間から、その周辺環境に作用し、否が応でも建物周辺の環境をつくり出します。建築は内部環境をつくると同時に外部環境もつくり出します。建物が建つ周辺や地域をつくり出す「始原」となり得るのが建築です。ひょっとすると今までは建物の内部環境がより重視され、建物によってつくり出される外部環境には無意識的であったのかもしれません。そして、コンクリートによって地球を固め続けた結果、近年のゲリラ豪雨や土砂災害など様々な災害を招く要因の一端を担っている可能性さえあるのです。
ただし、ここでいう「始原」とは自然を破壊せず建物を建てるということではありません。人間が生活する上で、自然は必ず破壊されます。破壊を前提に、人の手が入ることによってより良い環境をつくり出すような、例えば、自然そのものを残す提案ではなく、人の手が入ることでできあがる「庭」のような提案を求めます。
敷地は自由に選定し、提案によってその内部環境とともに外部環境をつくり出す「始原」となる家をランドスケープとともに提案してください。
※ 広辞苑 岩波書店第三版
審査員
2003年 大阪芸術大学芸術学部建築学科 卒業
2004~2012年 西沢大良建築設計事務所 勤務
2012年 三家大地建築設計事務所 設立
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